私はこのように同人誌を作った
その壱
 


 「コミケ」でたくさん売られている同人誌。では実際に製作したときにはどのように出来上がるのでしょうか?
 今回は同人誌で表紙のフルカラー印刷について実際に原画と印刷物を見比べて頂ければと思います。
印刷所 イシクラADルーム様
印刷用紙 コート紙
加工 マットPP
色指定 蛍光ピンク差し替え4色カラー
発注時期  1997年12月
      
印刷前の原画 印刷された絵

細かいところの比較

原画 印刷物 コメント
 まず肌の色の中から赤みがほとんど消えています。口の中の色が一番はっきりと色が変わっているのがわかります。
 こちらもかなり原画からマゼンタが抜けています。青色にピンク色を混ぜると多分こんな色になるのでしょう。
 茶色からもマゼンタの成分がほぼ抜け落ちています。さらに当時「色よ出ろ〜」と念じながら塗ったグラデーション(のつもり)が濃すぎて印刷では黒く出てしまっています。
 逆にこちらはほぼ色の変化があまり無かった場所です。マゼンタの成分があまりなかったようです。黒が薄くなっているのはマットPPの効果です。むしろアスカJr.の顔の色つやが良くなっているかも?(笑)
 蛍光ピンクを使った箇所はほぼ原画通りに色が再現されています。通常4色ですとこちらの色が沈んでとても濃くなります。
ゆきま独断の用語説明
コート紙  つるっとした紙でフルカラー印刷に適した紙と言われています。
 外からの衝撃に弱くすぐに傷がついてしまうので、加工をしてから利用する人もいます。私はこの紙を使うときはほぼ加工しています。
マットPP  主に表紙などに施す加工の1つ。印刷が終わった紙につやがないフィルムを貼ることによって表紙の強度を強くすると同時に上品に見せる効果があります。
 実際に使ってみると色が全体的に薄くなります。上の表ですと特に濃く塗った箇所の色が薄くなっていますね(黒とか青とか)
蛍光ピンク
差し替え
 同人誌のフルカラー印刷では普通CMYKの4色で再現する方法が基本でした。その中のM(マゼンタ)を蛍光ピンクに差し替えることによって、注文する人が一番気になる人物の肌色を鮮やかに印刷させようとすることを言います。
 逆に言えばマゼンタ(M)が全て蛍光ピンク色(KP)に変わってしまうのでマゼンタ(M)の要素が入っている色(茶色や赤色や紫色など)が全て再現されにくくなってしまうという諸刃の剣でもあります。しかも肌色は塗った通りに再現されるわけではありません。今は利用している人が少ないかもしれません。
 上記の表を参考にご注文なさる方は色の配分にお気をつけ下さい。ちなみに「差し替え」と「追加」は意味が全然違いますのでご注意下さい。
4色カラー  C(シアン→主に青系)M(マゼンタ→主に赤系)Y(イエロー→主に黄色系)K(黒)の4色を使って印刷にかけた原稿をフルカラーに再現する方法。同人誌のフルカラー印刷に使われています。「通常4色」と私は呼んでいます。
 しかし再現力に限界があり全て原画通りの色に再現出来るわけではありません。特に蛍光色の再現が難しく、市販されているインクの中にも蛍光色が普通に混ざっているため蛍光色の成分がうまくでないいわゆる「色が沈む」という状態がよく見受けられます。
 色の数は多ければ多いほど再現力が上がると言われています。最近では「蛍光ピンク」「蛍光オレンジ」「蛍光グリーン」などの色を上記4色に追加して再現力を高める印刷プランも印刷所によってはあります。
 最後に、これはゆきまが実際に作った同人誌原稿をもとに個人的に作成したページです。
 ご参考になれば幸いですが、印刷所、印刷条件、季節,、個々の好みなどによって印刷結果の印象が変わってきますのでくれぐれもご注意下さい。

「ゆきまの小部屋」トップへ