Canon EF 35mm F2 購入まで

Canon EF 35mm F2 を購入した。

これを購入するまでのレンズのラインアップは、EOS Kiss Digital レンズキットの EF-S 18-55mm、一緒に購入した TAMRON 28-300mm の高倍率ズーム、結婚式撮影用に購入した TAMRON 28-75mm F2.8、最後に単焦点の EF 50mm F1.8 IIの4本だった。

弘前城
35mm, Av=5.6, Tv=1/250, ISO=200, Kiss Digital
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これに加えて、自宅の室内用に手軽に使えるレンズを1本、検討することにした。2005年春のことだ。室内用なので、開放F値が小さい=明るいほどよい。F2.8 でも何とかならないことはないが、やはりこれよりも明るいもの、できればF2よりも明るいものが便利だろう。なら EF 50mm F1.8 II でもよさそうなものだが、EOS Kiss Digital での組み合わせで使ってみると狭い室内ではちょっと望遠過ぎた。50mmは標準レンズと言われるが、35mmフィルム換算で50mmに近くなるレンズが、こういう用途では使いやすいようだ。

ということで、検討してみた。条件は、換算焦点距離が50mm付近であることと、できるだけ明るいこと(できればF2.0)だ。そして室内で手軽に扱うことを考え、できるだけ軽量であることだ。

単焦点レンズ(広角〜標準〜中望遠)
メーカ名称焦点距離換算実売価格重量APS-C
CanonEF-S 24mm F2.8 STM3816,700125
CanonEF 24mm F2.8 IS USM3858,980280
SIGMA24mm F1.4 DG HSM3885,740665
CanonEF 28mm F1.8 USM4552,800310
CanonEF 28mm F2.845-185
CanonEF 28mm F2.8 IS USM4553,600260
SIGMA30mm F1.4 DC HSM4836,000435
CanonEF 35mm F2 IS USM5657,870335
CanonEF 35mm F25631,800(当時)210
SIGMA35mm F1.4 DG HSM5683,430665
TAMRONSP 35mm F1.8 Di VC USD5667,300480
CanonEF 40mm F2.8 STM6416,800130

この分野は検討時から大きく変わっている。検討時には、有力候補のEF-S 24mm F2.8やSIGMA の 30mm F1.4 DC HSMも、TAMRONの単焦点レンズも、CananのF2.8 IS、EF 40mm F2.8も発売されていなかった。

当時発売されていたものから選ぶとすれば、「軽量」を考慮すると、EF 28mm F1.8 USM か EF 35mm F2 が有力な選択肢だった。

あとは、どちらにするか、だ。

まずは EF 28mm F1.8 USM を調べた。Web での評判(EOS-D-SLR.netなど)は、開放ではソフトな写りだが絞ればシャープ、といったものだったが、気になったのは良いものと悪いものの評価の差が激しい、つまりは当たり外れが大きいような印象を受けたことだ。検討時は、まだ一眼レフカメラを購入してから1年ちょっとしか経っていなかった。経験が浅い中で当たり外れのありそうなレンズを購入するのはリスクが高く、また価格も高かったため、EF 28mm F1.8 USM は断念した。

もちろんこれはWebでの噂話であり、実際のところどうなのか、また今はどうなのか、は分からない。

残るは EF 35mm F2。発売開始は1990年と古いレンズで USM もついていないのだが、F2 と明るく、210g と候補の中では最軽量。さらに価格も比較的お手頃なので、EF 35mm F2 に決定した。

今は、SIGMA 30mm F1.4 DC HSM という選択肢がある。このレンズは F1.4 と F2 よりもさらに一段明るいという大きなメリットがあり、超音波モーターも搭載。十分検討の対象になり得るレンズだ。さらにキヤノンからは、EF-S 24mm F2.8 IS STMが出ている。こちらはF2.8と暗いが、とても軽量ないわゆるパンケーキレンズだ。検討時にこのレンズが発売されていれば、大いに迷ったことと思うし、結局のところEF 40mm F2.8と、EF-S 24mm F2.8は購入してしまった。

Canon EF 35mm F2 使用感

チューリップ
35mm, Av=2.8, Tv=1/500, ISO=100, Kiss Digital
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レンズを装着してみての第一印象は、まずはその軽さとコンパクトさだ。EF 50mm F1.8 II ほどではないにしても、このコンパクトさは素晴らしい。軽量な Kiss Digital X や Kiss X2 にはぴったりだろう。

フォーカスリングはあるが、さほど操作性のよいものではないと思う。またフルタイムマニュアルフォーカスはできない。使用しているカメラが今は Kiss Digital X で F2.8 対応の AF センサーを持っているため、ほぼ全てを AF で撮影している。AF 時のモーター音は大きい。静かな USM に慣れてしまうと、気になる大きさだと思う。

このレンズの絞りは円形ではなく5角形だ。点光源を大きくボカすと5角形になってしまうので、気になる場合もたまにはある。

マウント部は金属で、距離指標もあり、このあたりの作りは EF 50mm F1.8 II よりも上だ。フォーカス時にフィルタ枠は回転しない。PL フィルタを使おうとすれば便利に使えるだろう。

最短撮影距離0.25m、最大撮影倍率は 0.23 倍。比較的近接撮影にも強い。チューリップのような大きい花であれば十分に大きく写すことができる。この頃はマクロレンズを持っていなかったこともあり、この近接撮影能力の高さにはとても助けられた。

35mmフィルム換算の焦点距離は56mm。元々の目的であった室内撮影にも問題のない焦点距離だ。

チューリップ
35mm, Av=2.5, Tv=1/400, ISO=100, Kiss Digital
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このレンズを購入してからは、旅行などでは高倍率ズーム(TAMRON 28-300mm や 18-200mm など)とこのレンズを持ち出すことが多くなった。高倍率ズームは屋外では非常に便利だが、屋内ではさすがに暗い。そんな時にこの EF 35mm F2 はかなり有用だ。ISO 1600と絞り開放まで使えば、電灯がついている部屋ならば撮ることができるだろう。また旅行での楽しみの1つに食事があるが、0.25mm という最短撮影距離を活かすような撮り方もできるし、少し離れれば食事の全景を撮るようなことも簡単にできる。軽量コンパクトで、荷物を減らしたい旅行時にもジャマにならない。

さらに高倍率ズームとの組み合わせは、屋外でもメリットがある。画質の良さやボケの大きさが欲しいときにはこのレンズに替え、手軽に撮影していたいときには高倍率ズームを使うという使い分けができるからだ。

非常に便利なレンズであり、標準域に EF-S 17-55mm F2.8 IS USM と TAMRON 28-75mm F2.8 がある今でも、特に室内撮影で重宝している。

画質の面では、さすがに単焦点レンズだけあって良いと思う。室内で光が足りないときには ISO を 800 程度にして、F2〜F2.8 程度で使うことが多い。それでも十分にシャープだ。それよりも絞りを開くとピントの合う距離が狭くなるので、画質よりも被写界深度を理由として絞ることの方が多い。

屋外での使用では、絞っても良し。またチューリップの例のように被写体に近づいて絞りを開ければ大きなボケを得ることもでき、開けて使っても良しだ。